「スパイダーマン:スパイダーバース」を見てきました。この映画を見ていたら、ファイナルファンタジー15のおにぎりを思い出しました。
ストーリーに軽く触れつつ、最近のCG表現についても感想を書いていきます。
スパイダーマン:スパイダーバースのあらすじ
ニューヨークのブルックリンに暮らす普通の少年マイルス・モラレスを主人公にした本作は、時空が歪められたことにより、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが一堂に会する中、マイルスが一人前のスパイダーマンになるため奮闘する姿が描かれる。
映画「スパイダーマン:スパイダーバース」特集 武井宏之インタビュー – コミックナタリー 特集・インタビュー https://natalie.mu/comic/pp/spider-verse
スパイダーマン:スパイダーバースの感想
CGでありながら、セル画のようなアニメ表現を取り入れている今作。
フルCGの映画は珍しいものではなくなりましたが、スパイダーバースの映像表現はまさにテクノロジーとコミックの融合!往年のファンでも楽しめるものになっていると思います。
対して、最近のCGはファイナルファンタジー15のように、とにかくリアルを追求して歯止めが効かなくなってる感があります。
ここでひとつ悪い例を紹介します。
リアルを追求しすぎて力を入れるところを間違っている、FF15のおにぎり。
FF15に出てくる「こだわり過ぎて容量がリヴァイアサンと同じになったおにぎり」の話、これ最悪で、全然褒めるところじゃない。これはピクサーで禁止されている「完璧に陰影をつけた1セント硬貨」そのもので、品質への欲求が理性を遥かに上回った狂気の沙汰。制作進行のタガが外れ過ぎてる。 pic.twitter.com/lfMtsIYmMp
— 稲葉渉 (@inabawataru) 2016年11月14日
FF15に登場するキャラクターは8頭身のイケメン、美女ばかり。背景やエフェクトもスクエニの総力を結集して表現されたリアルな描写。
そこに登場するものは同じクオリティで表現しないとギャップが生まれてしまうため、劇中に登場するアイテムも一切妥協ができなくなってしまったというわけですね。
憧れのFFに携われると思っていたら、まさかおにぎりのモデリングに心血をそそぐことになるとは思ってもいなかったでしょう。
話が少しそれましたが、スパイダーバースはリアルとデフォルメのバランスがとにかく優れてるんですよ。
吹き出しや効果音が漫画のようにところどころ現れて、技術とは別のベクトルで新しいCGを見せてくれます。
あくまでもCGアニメであることを忘れず、漫画的表現に仕上げているのに、全然安っぽくならない。だからこそ単純に「カッコイイ」と思えるキャラクターたちが生まれているのだと思います。
普通に3DCGとして制作してから、手書き表現を後から上乗せしているようで、とにかく手間がかかっているとのこと。
色使いだけでなく目まぐるしく変わる画面デザインを見ていると、こだわりにうなずけます。
とにかくこの映画の売りは、これまで見たことのないスパイダーマンが見られること。そして”体験”できることが一番の楽しみです。
映像的には一人称視点ではないけれど、主人公の少年マイルスが体験するアクシデントを、まるで自分も体験してるような感覚が味わえます。ディズニーランドで映像を見ながら進むアトラクションみたい。
アクロバティックなアクションが売りのスパイダーマンだからこそ、画面いっぱいに飛び回る姿とアニメがよく合います。
各次元から集まったスパイダーマンたちと、悪の親玉キングピンの手下たちが屋敷の中で戦闘を繰り広げるシーン。
狭い部屋の中をビュンビュン飛び回り、あっちの敵の攻撃をスパイダーマンが受け止め、隙間をグウェンがすり抜け、とにかくせわしなく画面が動きます。
スピード感と、現実の物理法則を無視して活躍するヒーローの姿はアニメならでは。
映像表現を楽しむことにかけては、とにかくピカイチの映画でした。
肝心のストーリーは、アニメ映画ということもあってか、子供も楽しめる比較的単純なもの。学校生活に悩む主人公マイルスが奮闘しながらも力を身につけ、スパイダーマンへと成長する物語。
大人が見ると少し退屈に感じることもあるかもですが、スパイダーマンの魅力はやっぱり「スパイダーマンになるまでの成長」にあるなと再確認しました。
周りについていけず落ちこぼれ気味。自分に自信がなく、一歩が踏み出せない少年がマスクをかぶる。
そしてスパイダーマンとして、ヒーローとして変貌を遂げる。その過程があるからこそ、スパイダーマンはより身近な存在として自分にも照らし合わせて楽しめるのかな。
ラストでもマイルスが言ったように、「誰でもマスクを被れる、ヒーローになれる」という言葉は、子供に勇気を与えるものだと思う。
ちょっと残念だったのは、思いのほか別次元のスパイダーマンたちの活躍が少なかったところ。
第1作目ということもあって、マイルスの成長に重点を置いた結果、別次元のヒーローたちは自己紹介程度に挨拶してちょっと戦うぐらい。
それぞれのキャラクターに知識がないと、どの漫画で活躍してどんな背景があるのかイマイチわかりづらかったです。
ラストは当然続きを作ろうと思えば作れる感じだったので、次回作では各キャラクターの深掘りと新キャラ登場に期待したいです。
まとめ
ストーリーは王道中の王道なので誰でも楽しめる展開になっています。
マイルスがヒーローとして立ち上がり「スパイダーマン」になる姿と、映像のスピード感はシビれます。
スパイダーマン好きなら見ておいて絶対に損はないので、ぜひ。