トム・ホランド主演のスパイダーマンシリーズ第3作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を見てきました。
まだ見てない人にもこれだけは言えます。スパイダーマン好きなら間違いなく楽しめる作品です。
ファンとして語りたいことが山ほどなので、ネタバレ満載で感想を書いていきます。
まだ見てない人は目次にもネタバレ書いてあるので注意です。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の簡単なあらすじ
世界中にスパイダーマンであることを明かされたピーター・パーカー。
ドクター・ストレンジの力で人々の記憶からピーターがスパイダーマンだという記憶を消すよう依頼します。呪文を唱える途中、失敗によって時空が歪みんでしまいマルチバースが出現。
それぞれのユニバースから歴代のスパイダーマンシリーズのヴィランたちを呼び寄せてしまう。
襲い掛かるヴィランを前にピーターの運命は。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のここが熱い!
スパイダーマンファンとして、個人的にここが熱い!を思うポイントを書き連ねます。一部物語の流れ通りではなく順不同な感想になっているのでご了承ください。
3部作の集大成
まず第一に言えるのは、まさしく映画スパイダーマンシリーズの集大成と思える作品でした。
これは鑑賞した人なら全員が感じたことではないでしょうか。
マーベル・シネマティック・ユニバースとスパイダーマンの関係
マーベルとスパイダーマンの関係を簡単に解説しておきます。知ってる人は読み飛ばしてオッケーです。
トム・ホランド主演としてのスパイダーマンシリーズは今回でラストの予定でしたが、なんと新たな3部作がトム・ホランド主演で映画化されるとのこと!
新しいシリーズ制作はすでに名言されていますが、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でのスパイダーマンになるかは明言されておらず、今回最後になるかもしれません。
そのため、物語としてはピーターをアベンジャーズ含むマーベル・ユニバースから外す構成になっています。
ほとんどのキャラクターはマーベルが権利を持っているので、映画化もドラマ化も当然ながら自由に制作できます。ところがスパイダーマンはソニーが映画化権や配給権を持っています。そのため、他マーベルキャラクターとの共演は権利関係をクリアしないと実現できない複雑な立ち位置になっています。
アベンジャーズを題材にしたゲームにスパイダーマンが出てなかったり、ディズニーの見放題サービス「Disney+(ディズニープラス)」でスパイダーマンが見られないのはこういった権利の問題のせいです。
シビル・ウォーでのトム・ホランド版スパイダーマン初登場を含めて、スパイダーマンがMCUへ出演する契約が今のところノー・ウェイ・ホームまでなので、以降はアベンジャーズとの関わりはなくなってしまうかもしれない、というわけです。
なので映画の世界でもスパイダーマンとアベンジャーズとのつながりを切る必要があったからこそ、ドクター・ストレンジ自体も記憶をなくすことでそれを実現したわけですね。映画の物語としても違和感なくつなげたことに感心。
こうして平穏を取り戻すことと引き換えに、ピーターの存在を知る仲間はいなくなりました。
それは恋人のMJも親友のネッドも同じ。
映画的にも現実的な契約的にも、スパイダーマンはマーベル・シネマティック・ユニバースから離れることになりました。
ピーターの記憶がなくなった後、MJの働くカフェを訪れるも、ピーターのことを思い出すような演出はありませんでしたね。
MJはなんとなく違和感や親近感をピーターに感じたものの、映画的なご都合主義で思い出す、なんて演出がなかったのは個人的によかったです。
歴代スパイダーマンの登場
何よりも興奮したのはこれ!歴代スパイダーマンの登場です。
元々ネット上で噂はありましたよね。マルチバースからこれまでのヴィランが登場するからには、スパイダーマンもこちらの世界に来る可能性がある。それが実現しました。
ネッドが時空間にホールを開き、ピーターを探そうとしたシーン。ホールの向こうにスパイダーマンの姿は見えるものの、なんか微妙にシルエットや動きが違う?
そんな違和感とともに、まさかまさかと思っていると、近づいてきてこちらに現れたのは別次元のピーター。アメイジング・スパイダーマンでした!
マスクを取るとちゃんとアンドリュー・ガーフィールド!
懐かしい。やっぱりいくらか歳をとったなとは感じたけど、まさしくあのときのスパイダーマンとしての出で立ちは変わらず健在でした。
敵ではないかと疑うMJを見て、「その人は紛れもなく本物のスパイダーマンだ!早くパンを投げるのをやめろ」と心の中で叫びました。
そして続けざまに現れたのはトビー・マグワイア。初代スパイダーマンです。
トビーも歳を重ねているものの、やっぱりあのときのピーターでしたね。少しおとなしそうな雰囲気、微妙にダサい?ファッション。
2000年代初頭のアナログ感が残るスパイダーマンの世界からタイムスリップしたようでした。
メイおばさんを亡くし、自暴自棄になるトム・ホランド・ピーターのもとに2人が駆けつけます。
大事な人を亡くしたのは歴代のピーターも同じ。
トビー、アンドリューそれぞれのピーターも、育ての親であるベンおじさんを自分の過ちで失っています。
さらにアメイジング・スパイダーマンのアンドリュー・ピーターは、恋人のグウェンさえも戦いの中で失っています。
だからこそトム・ピーターの悲しみは誰よりも理解できている。
大いなる力には大いなる責任が伴う。
スパイダーマンの代名詞であるこのフレーズは、3人に与えられたヒーローとしての力と引き換えに、断ち切ることはできない運命を表すものでもあるんですね。
理解者の出現とともに、ヴィランを救い、事態の収集を決意するピーター。歴代スパイダーマン3人での闘いが始まります。
歴代スパイダーマンの共闘
まさか集うなんて思ってもみなかった3人のスパイダーマン。作戦会議をしてるシーンだけでファンとしてはたまりません。
ノー・ウェイ・ホームを見て考えを改めたのはアンドリュー・ピーターの存在です。
実は個人的にアメイジング・スパイダーマンがあまり好きじゃなかったんです。
詳しくは別の記事「アメイジングスパイダーマンはなぜつまらなかったのか、個人的感想。」でも書いてますが、アンドリュー・ピーターはいわゆるイケメンなんですよね。
女の子とも普通に話せるし、なんとなくイケイケな雰囲気。それがイメージしてるピーター像と違うことで受け入れられなかったんです。
ただ、3人が集結すると、アンドリュー・ピーターの明るさや軽さがいいムードメーカーになっていたと思います。
初代スパイダーマンのトビー・ピーターはどちらかと言うと寡黙なキャラなので、みんな同じ性格だったら絶対盛り上がらないので(笑)
弟のようなトム・ピーターに2人の兄貴が支える形でのやり取りは微笑ましくもありました。
救済の物語
ノー・ウェイ・ホームは集大成であると同時に救済の物語でもありました。
元々のユニバースに戻ると死ぬ運命にあるヴィランたち。
ヒーロー映画ならヴィランが倒されるのは当然の結果でもあります。
そんな運命を変えるべく奮闘するピーターたち。
それぞれのヴィランは人間に戻り、死という結末から救われます。
救済はヴィランだけではありません。初代、2代目のスパイダーマンも同じ。
激昂に駆られ、ベンを殺した強盗を痛めつけ、結果死に追いやってしまったトビー・ピーター。
メイおばさんを殺されたトム・ピーターが、仇であるグリーンゴブリンに刃を振り下ろそうとした瞬間に止めに入ります。
トム・ピーターを止めることで自身の過ちを繰り返すことを阻止し、償いを果たしたトビー・ピーター。
救済を果たしたのはアンドリュー・ピーターも同じ。グリーンゴブリンとの闘いに巻き込まれ、最愛の恋人グウェンをなくしてしまいました。
鉄塔の上から落下するグウェン、それを必死に追いかけるアンドリュー・ピーター。最後にウェブを発射してグウェンの手を掴むように広がる糸のシーンは今でも忘れられない印象的なものになっています。
ノー・ウェイ・ホームでのヒロインMJが、まさしくグウェンと同じく闘いの中で巻き込まれ高所から落下します。
必死に手を伸ばし救おうとするトム・ピーターですが、敵に阻まれつかむことができません。
それをすんでのところで救ったのがアンドリュー・ピーター。
アメイジング・スパイダーマン2では、グウェンを救えなかったことで一度は挫折しながらも、再び立ち上がる姿が描かれていました。
ただ、実際はグウェンのことを完全に吹っ切れたわけではなかったようです。恋人を作らずその後も一人で闘い続けてきたアンドリューは、MJを助けることであのときの後悔を繰り返さずに済んだんですね。
MJを抱え「本当によかった」と涙を浮かべるアンドリューからはそれが伝わってきました。
ラストから初代へと繋がるスパイダーマンのスーツ
世界からスパイダーマン=ピーターの記憶をなくした結果、ピーターにはなんの後ろ盾もなくなってしまいました。
それはスーツも同じ。ホームカミング 、ファー・フロム・ホームで着用していたスーツはアイアンマンであるトニー・スターク(スターク・インダストリーズ)から与えられたもの。
リスタートを切ったピーターは自分だけの力でスーツを作り上げます。
机の上にはミシンとスパイダーマンの象徴である赤と青の生地が散らばっています。窓から勢いよく飛び出した姿、それはまさしくコミック版の初代スーツと思わしきデザイン!
ゲーム版ではクラシックスーツの名称です。青のカラーリングは若干水色に近く、背中のクモマークも小さくデフォルメされたデザイン。
ホームカミングのスパイダーマンスーツの背中に描かれたクモデザインは、歴代シリーズと比較してコミックに近しいものでした。
歴代のスーツはリアルでシャープなデザインなので比べてみると一目瞭然です。
もしかしてトム・ホランド版のスパイダーマンは最終的にクラシックスーツへつながることが予定されていたのでしょうか。
だからこそ元々の背面デザインも原作に近づけていたとしたら…。想像するだけでワクワクしますね。
そしてクラシックスーツこそ、映画内で初めてピーターが自分で作り上げたスパイダーマンスーツでもあります。
ホームカミングでもハンドメイドスーツはあったけど、あれはまさしくハンドメイドですよね。パーカーにゴーグルを取り付けたマスク。
いわゆるザ・スパイダーマンとはやっぱりちょっと違います。
トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド版では自分で作り上げていたので、人から与えられたスーツをまとうトム・ホランド版は大きな違いにもなっていました。
トニー・スタークからもらったスーツを捨て、自分の手で作り上げたスーツでスパイダーマンとして生きていく。
子供から大人への転換、アベンジャーズとの別れ、これまでの世界との決別。いろんな意味が含まれていそうです。
ピーターの成長をうれしく思うと同時に少し寂しくもあります。
トム・ホランドもノー・ウェイ・ホームでは幼さが抜けて少し大人になったなと感じたので、現実世界ともリンクして、よりピーターの成長を感じることができました。
スパイダーマンの次回作は
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の感想とレビューをファンとしての意見を交えて紹介しました。
次回作は制作が決定されつつも、内容は全く決まっていません。
宿敵ヴェノムの登場はあるのか、マイルス・モラレスの登場はあるのか。想像するだけで楽しみな展開がまだいくつも残っています。
次回作へとつながるスパイダーマンシリーズをこれからも応援していきます。