映画チャッピーを見ていて考えさせられたのはロボットの“表情”です。この記事ではチャッピーの感想とともに、ロボットの表情の表現をテーマにしています。
映画「チャッピー」のあらすじ
南アフロかの犯罪地帯ヨハネスブルクでは、世界初のロボット警官の登場により犯罪が激減。
開発エンジニアの主人公ディオンは完全自律型のAI開発に成功するが、ロボット警官を悪用しようと企むギャングにロボットごとさらわれてしまう。
心を持ったロボット“チャッピー”は、成長する中で守るものを見つけていく。
チャッピーのデザインと表情
まずなによりも、チャッピーのロボットとしてのデザインやディティールがとにかく好みでした。
人型ロボットでありながらちゃんと機械感を残したデザイン。頭のアンテナが耳のように動きます。大きな音が出てびっくりした時は耳を垂らして反応したり、キャラクターのような表現方法。
人間のように細かくパーツが動かないロボットでも、表情を表現する方法はすでに確立されているなと感じます。
古い映画だと「ショートサーキット」のナンバージョニー5。(子供の頃大好きで十数回見たなぁ)
自ら考えて自分で行動できるロボットのジョニー5は、目の上のパネルを上げ下げすることで驚き・怒り・悲しみを表します。
驚いたときはパネルを開いて目を大きく見せ、怒ったときはパネルを逆ハの字に逆立て、悲しいときはパネルを下げてトボトボ歩きます。(正確にはキャタピラ)
ジョニー5を見ていると、何かに似てるなと思いませんか?そうピクサーの“ウォーリー”です。
ウォーリーはほとんど喋ることができないので、感情表現を行動や表情だけで表しますが、やっぱり重要なのは目ですよね。目の高さを上げ下げすることで嬉しさや悲しさが伝わってきます。特に目を垂れ下げて上目遣いでのぞきこむような表情は、ほんとにしょんぼり感が伝わってきます。
ロボットの表情作りで大事なのは目なんじゃないかと個人的には思います。
顔が鉄でできててもセラミックでできてても、目の表現だけで感情を表すことは十分できます。
Ankiから発売された人工知能ロボット“COZMO”は口も鼻もありませんが、目だけは特に表現が豊かです。
ニコッと笑ってみたり、目を細めて疑ったり、吊り上げて怒ってみたり。
COSMOは表情のパターンが豊富で、本当に感情があるような、生きているようにさえ思えます。
ちなみにCOSMOの目の表現をデザインしたのは、元ピクサーのアニメーターさんらしいです。
ウォーリーに登場する女の子ロボット”イブ”の目とCOSMOの目を見比べてみると、たしかに似てますね。
チャッピーも同じようにドット風の液晶に目が光ります。COSMOやイブのように豊かには変わりませんが、怒ったときは尖ったデザインに変わります。
こんな感情豊かなロボットの敵が昔ながらの重厚機型という対比構造もおもしろいですね。敵ロボット“ムース“のデザインはロボコップに出てきた「ED-209」そっくり。
昔ながらの感情を持たない”いかにもロボット”らしいロボットと、チャッピーが戦うという構図も考えさせられます。
まとめ
映画チャッピーを視聴して感じたロボットの表情をテーマに書きました。映画としてはある意味勧善懲悪で難しいこともなく、スピード感があってとても楽しめました。
全く前情報がない状態で見ていたらなんとなく映画「第9地区」を思い出しましたが、同じ監督さんだったんですね。
人としてのコミュニティから外れてしまった存在みたいなものが、第9地区に出てくるバグたちを連想させました。
あとは単純にスラム街の表現がうまいというか、恐怖を感じさせる撮り方がほんとうにうまいなと思わせます。ゴミと死骸が転がった汚い街の中でも、そこに住んでる人やギャング達の姿。最後は主人公でさえもそんな汚い街に逃げ込み姿を隠すことになって、そこで生きていくことは続く。
ハッピーエンドと言い切れない後味がこの映画、この監督の魅力なのかもしれません。
以上、映画「チャッピー」の感想でした。