リニューアルしたRAIZIN(ライジン)の広告デザイン決断力

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2017年4月にエナジードリンク「RAIZIN」がリニューアルされました。
スーツ姿の男性が、大きな交差点でさっそうと集団行動を繰り広げるCMを見たことがあると思います。

広告デザインの観点からリニューアルしたRAIZINの魅力を語ります。

目次

シンプルを受け入れた広告主の潔さ

CMのインパクトもさることながら、新しくなったRAIZINの広告で個人的にいちばんスゴイと思ったのが、屋外広告や交通広告などのグラフィック広告

RAIZIN MILD屋外広告

RAIZIN DRY 屋外広告

CM・広告情報「AD GALLERY」 |RAIZIN| 大正製薬:http://www.taisho.co.jp/raizin/adgallery/

真っ白な背景に、商品のアイデンティティを表す多角形のグラデーションと「Be smart. Be creative」のキャッチコピーだけ。

デザインがかっこいいのはもちろんですが、むしろ驚いたのはこれにOKを出したクライアント(広告主)の方。
普通こんなシンプルな見た目の広告にOKを出してくれるクライアントはほとんどいません。

僕はWebデザインの仕事をしてるのですが、サイトのデザインだけでなく広告バナーやチラシを作ったりもします。
作る側にいるとよくわかるのですが、依頼者(営業側)はとにかく情報をたくさん載せたがります。

音楽サイトであれば、配信している楽曲・月額料金・機能のメリット・サイトの使いやすさなどを、1枚のバナーに盛り込んでほしい、といった感じ。

営業から依頼される要素

ただ、広告を作るときに大事なのは「広告を見たい人なんて誰もいない」と意識すること。

誰も広告なんて見たくて見てる人はいないんですよね。
テレビにはCMスキップ機能が搭載されたり、スマホの広告ブロックアプリが人気になったりすることからも見て取れます。
自分たちの言いたいことを詰め込んでゴチャゴチャした見た目になってたら、余計に広告は嫌われてしまいます。

RAIZINの広告も、依頼側としてはとにかく載せたい情報はたっぷりあったはずです。
・肉体疲労・病中病後の栄養補給や滋養強壮に
・タウリン1000mg配合!
・マイルドとドライ。気分を変えたいときに2つの味

でも、それを全部詰め込んでたらきっと“疲れる広告”になっていたに違いありません。

真っ白な背景に商品写真、ひとことだけのキャッチコピー。
このシンプルな見た目が他の商品との違いになり、嫌味がなく目立つことができます。

RAIZIN駅のポスター

デザイナーはなるべくわかりやすくシンプルを心掛ける立場、企業としては売り上げのためにメリットを押し出したい立場。
自分たちの言いたいことをグッとこらえて、デザイナーの案を採用した担当者と会社は素直にスゴイと思います。

RAIZINのリニューアルデザインを手がけたのはnendo(ネンド)の佐藤オオキ

新しいRAIZINの広告から商品パッケージまで、総合的にデザインを担当したのはnendoの佐藤オオキです。

佐藤オオキと言えば、お菓子やファッション、家具から空間デザインまで幅広いデザインが有名です。
今回のリニューアルは、もともと佐藤オオキがRAIZINを愛飲していたことがきっかけだったそうです。

佐藤はRAIZINのリニューアルについてこんな風に話しています。

佐藤 手に取れるプロダクトを通して、この多角形が気づいたら日常に浸透しているようにしたいなと思って。

【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ:https://casabrutus.com/design/44628

プロダクトとしても広告としても浸透するデザインの秘訣はここにあったんですね。

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